解体工事と土壌汚染は関係ある?調査の必要性や費用、そして土壌汚染対策法を解説!

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ピタットハウス浦和西口店・恵比寿店を運営する株式会社エスエイアシストがお届けする解体コラム、第53回目は「解体工事と土壌汚染について」です。
家屋や建物を解体して更地にするとき、多くのオーナー様が心配されるのは解体費用や工期でしょう。しかし、特に過去に工場やガソリンスタンドなどとして利用されていた土地では、目に見えない土壌汚染という重大なリスクが潜んでいる可能性があります。
土壌汚染が発覚した場合、その後の土地活用や売却に大きな影響を与え、数千万円規模の追加費用が発生するケースもあるのです。
この記事では、解体工事と密接に関わる土壌汚染の問題について、そのリスクや調査の必要性、土壌汚染対策法の概要、そして汚染が発覚した際の対策費用まで、解体工事の専門家が分かりやすく解説します。埼玉県の現状も踏まえて解説しますのでぜひチェックしてみてください!
もくじ
なぜ解体時に土壌汚染が問題になるのか
建物が建っている状態では、地中の土壌汚染を調査することは困難です。そのため、解体工事によって建物が撤去され、地面が露出した段階で、初めて土壌汚染の存在が明らかになるケースが多くあります。
土壌汚染が引き起こす深刻な問題
土壌汚染では様々な問題が引き起こされます。発覚した場合の具体的な問題を確認していきましょう。
健康被害のリスク
汚染物質が揮発したり、地下水を通じて飲料水に混入したりすることで、住民の健康被害を引き起こす可能性があります。
土地活用・売却の制限
汚染が判明した土地は、法令により利用目的が制限されたり、売却時に大幅な価格交渉を迫られたりするなど、土地の資産価値が大きく低下します。
多額の浄化費用
汚染土壌の土壌汚染対策(浄化)には、汚染物質の種類や量に応じて数百万~数千万円という多額の費用が必要となります。
土壌汚染の原因となる主な施設
かつてその土地に建っていた施設の種類によって、汚染リスクは高まります。
解体工事を検討している土地が、過去にどのように使用されていたかを知っておくことは重要なポイントです!以下のような活用をされていた土地が該当します。
・有害物質を取り扱っていた工場や事業場(メッキ工場、金属加工、化学工場など)
・ガソリンスタンドやクリーニング店(揮発性有機化合物による汚染リスク)
・医療施設や研究所(特定有害物質の使用リスク)
・農薬などが含まれた埋め立て地
「土壌汚染対策法」の基本、調査が必要になるのはどんな時?
日本の土壌汚染に関する基本的な法律が、2003年に施行された土壌汚染対策法(正式名称:特定有害物質によって汚染された土壌の処理に関する法律)です。この法律は、国民の健康被害を防ぐことを目的としています。
法で定める「土壌汚染調査」が義務化されるケース
土壌汚染対策法に基づき、土地の所有者や事業者に土壌汚染調査が義務付けられるのは、主に以下の二つのケースです。
特定施設の廃止時
有害物質を取り扱う特定施設を廃止する際、土地の所有者や管理者は、都道府県知事(または政令指定都市の長)に届け出を行い、その土地の土壌汚染状況について調査を実施しなければなりません。
一定規模以上の土地の形質の変更時
都道府県知事が、土壌汚染のおそれがあると指定した区域外の土地であっても、3,000平方メートル以上の土地の形質を変更(掘削など)する工事を行う場合、着手日の30日前までに届け出が必要となります。この届け出により、知事の判断で土壌汚染調査が命じられることがあります。
義務ではないが調査が推奨されるケース
上記の法律で義務付けられていない場合でも、以下の状況では自主的な土壌汚染調査が強く推奨されます。
土地の売買時
買い手側(特にデベロッパーなど)から、将来のリスクを回避するために調査を求められることが一般的です。調査結果がないと、売却が大幅に不利になる可能性があります。
土地の履歴が不明な場合
相続した土地など、過去に何に使われていたか正確に把握できていない場合、万が一のリスクに備えておく必要があります。
地歴調査で汚染リスクが判明した場合
解体工事前に地歴調査(過去の土地の利用履歴を調べる調査)を実施し、過去に特定有害物質が使われていた履歴が確認された場合、自主的に土壌調査に進むべきです。
土壌汚染調査の流れと「特定有害物質」の種類
土壌汚染調査は、通常「地歴調査」「概況調査」「詳細調査」という3段階で進められます。
調査の流れ
①地歴調査
過去の土地の利用状況や、特定施設の有無、周辺環境などを文献や聞き取りで調査します。ここで汚染リスクが高いと判断された場合に、次の段階へ進みます。
②概況調査
実際に土壌を採取して分析する調査です。土壌の表層(地表から50cmまで)を中心に、広くサンプリングを行い、汚染の有無を大まかに確認します。
③詳細調査
概況調査で汚染が確認された場合に、汚染の範囲と深さを特定するために行う調査です。この結果に基づき、具体的な土壌汚染対策(浄化工事)の計画が立てられます。
土壌汚染対策法で定める特定有害物質
土壌汚染対策法で指定されている特定有害物質は、主に以下の3種類に分類されます。
重金属等:カドミウム、鉛、ヒ素、水銀など。
揮発性有機化合物(VOC):トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ベンゼンなど。主に脱脂洗浄剤やドライクリーニング溶剤などに使われています。
農薬等:有機リン化合物、PCBなど。
土壌汚染対策(浄化工事)の費用と主な手法
土壌汚染が確認され、健康被害のリスクがあると判断された場合、土地の所有者は土壌汚染対策(浄化工事)を行う義務が生じます。この対策費用が、解体費用と並ぶ大きな負担となります。
土壌汚染対策にかかる費用
対策費用は、汚染の種類、範囲、深さ、そして選択する浄化手法によって大きく変動しますが、一般的に数百万~数千万円、大規模な汚染の場合は数億円に達することもあります。また、この高額な費用が、土地の資産価値を大きく下げる要因となります。
主な土壌汚染対策(浄化)手法
汚染土壌の掘削除去
汚染された土壌を全て掘り起こし、密閉した上で、法令に定められた処理施設へ搬出し、処分・浄化する方法です。最も確実な浄化方法ですが、掘削費用、運搬費用、処分費用が全てかかるため、費用は高額になりがちです。
原位置浄化(オンサイト処理)
汚染土壌を掘り起こさず、そのままの場所で浄化する方法です。揮発性有機化合物(VOC)による汚染の場合、土壌中に薬剤や空気を注入して分解・除去する手法がとられます。掘削・運搬・処分費を抑えられるため、コスト面で有利になる場合があります。
遮水工(封じ込め)
汚染が地下水に影響を与えないよう、地下に遮水壁を設置したり、汚染土壌を厚い覆いで被覆したりして、汚染を外部に拡散させないようにする方法です。汚染物質自体を除去するわけではないため、恒久的な対策ではないものの、費用を抑えられるというメリットがあります。
埼玉県における土壌汚染対策の注意点
埼玉県は、古くから工業地帯として栄えた地域や、農地だった地域が宅地化されたエリアが多く存在します。そのため、解体工事においては、特定有害物質の汚染だけでなく、農薬や旧式の工場排水による汚染リスクも考慮する必要があります。
埼玉県独自の条例による上乗せ規制
土壌汚染対策法は全国共通ですが、埼玉県では、国の法律に加えて、「埼玉県生活環境保全条例」などに基づき、より厳しい規制や手続きを定めている場合があります。
例えば、国の法律で調査義務がない小規模な土地であっても、過去の履歴によっては条例により調査を求められるケースがあります。特に、特定有害物質を使用していた履歴がある場合は、解体工事を行う前に、必ず管轄の自治体(埼玉県、さいたま市などの政令指定都市)の環境関連部署に相談し、必要な手続きを確認することが重要です。
まとめ
建物の解体を検討する際、特に地歴に不安がある場合は、土壌汚染という見えないリスクを無視することはできません。汚染が発覚してからでは、解体工事のスケジュールや、その後の土地活用計画に大きな遅れが生じてしまうだけでなく、多額の土壌汚染対策費用が発生します。
こうした疑問や不安をお持ちの場合は、まずは解体工事の専門家であり、土壌汚染対策についても知見を持つ業者に相談することが最善の策です。
私たちエスエイアシストでは、不動産解体業者として、解体前の地歴調査や、必要に応じた土壌調査の手配、そして汚染発覚時の対策立案まで、一貫してご相談いただける体制を整えています。また、ピタットハウス浦和西口店・恵比寿店を運営しており、埼玉県の地域特性や条例にも精通しているため、安心してご依頼いただけます。
これまでも様々な土壌汚染に関するご相談を数々と解決してきた実績がありますので、お悩みの方は、ぜひ一度エスエイアシストにご相談ください!お待ちしています。