株式会社エスエイアシスト

店舗・テナント解体の鬼門!居抜き物件とスケルトン解体の境界線と費用負担の交渉術

独自のノウハウにより安心・安全、そしてリーズナブルに解体サービスを提供する、ピタットハウス浦和西口店・恵比寿店を運営する株式会社エスエイアシストがお届けする解体コラム、今回は、多くの店主様を悩ませる「居抜き物件とスケルトン解体」について解説します。

店舗を退去する際、オーナーや店主が直面する最も重い課題が「原状回復」です。特に近年、初期費用を抑えるために「居抜き物件」で出店するケースが増えていますが、これが退去時のトラブルを複雑化させる最大の要因となっています。

「どこまで壊せばいいのか?」「前の店主の設備まで自分が壊さなきゃいけないのか?」こうした疑問を放置したまま退去手続きを進めると、想像を絶する高額な解体費用を請求されたり、預けていた保証金(敷金)が底をついたりすることになりかねません。

本記事では、解体・原状回復の現場で頻発するトラブルの正体である「境界線」の考え方と、費用負担を最小限に抑えるための具体的な交渉術を徹底解説します。

原状回復の定義と「スケルトン解体」の基本

店舗における「原状回復」とは、賃貸借契約が終了した際に、借りた当時の状態に戻して返却することを指します。住宅の賃貸とは異なり、店舗物件では「経年劣化」や「通常損耗」が考慮されない契約が多く、文字通り「空っぽの状態」にすることが求められます。

スケルトン解体とは?

スケルトン解体とは、店舗の内装、設備(電気、ガス、水道、空調)、カウンター、間仕切り壁、天井、床材などをすべて撤去し、建物の構造体(コンクリートの打ち放し状態)だけにすることを指します。

多くの店舗契約では、「退去時はスケルトン戻しとする」という条項が含まれています。しかし、借りた時が「居抜き」だった場合、この解釈に店主とオーナーの間で深刻な乖離が生じるのです。

居抜き物件の落とし穴

居抜き物件を借りた店主様が最もハマりやすい罠が、「自分が新しく造作した部分だけを壊せばいい」という思い込みです。しかし、法律および実務上のルールは非常にシビアです。

「撤去義務」は引き継がれる

法的な一般論、および多くの賃貸借契約の判例では、「たとえ居抜きで借りたとしても、契約終了時にはスケルトンにして返さなければならない」という原則があります。

前の店主が設置した厨房機器、エアコン、ダクト、内装仕上げ。これらをそのまま使うという契約(造作譲渡)を結んだ時点で、あなたはそれらの「所有権」とともに「廃棄する義務(撤去義務)」もセットで引き継いでいるとみなされます。

実際に起こったトラブルとして、『「前の店が設置した大型エアコンだから、自分は撤去しない」と主張したが、契約書に「全撤去」と明記されていたため、結局数百万円の追加解体費用を全額負担することになった。』といった事例があります。
このように、善意や思い込みは通用せず、あくまで「契約書」が絶対的な基準となります。

境界線の曖昧さが招くリスク

稀に「一部の設備はオーナーの所有物(付帯設備)」というケースもあります。これを確認せずに解体してしまうと、逆に「勝手に壊した」として損害賠償を請求されるリスクもあります。解体前に、契約時の「B工事・C工事」の区分表や「資産リスト」を再確認することが不可欠です。

解体費用のリアルな相場:なぜ見積もりは高くなるのか?

スケルトン解体の費用は、単に「面積」だけでなく、業種による造作の密度や周辺環境、建物の構造によって大きく変動します。

業種別・坪単価の目安

業種坪単価相場費用のポイント
オフィス・アパレル店2.5万円 〜 4.5万円造作が少なく、撤去もスムーズ。
カフェ・美容室4万円 〜 7万円水回りの配管撤去や、床の防水層のハツリ(削り)作業が発生。
重飲食(焼肉・中華等)6万円 〜 12万円以上強力な排気ダクト、グリストラップ(油脂分離槽)、厚い防水コンクリートの撤去が必要。

見積もりを跳ね上げる「特殊要因」

・夜間作業の有無:商業施設やオフィスビルでは、昼間の騒音作業が禁止されている場合、夜間割増料金(通常1.25倍〜)が発生します。
・手運び・手壊し:重機が入らない狭い路地やエレベーターが使えない高層階では、すべて人力作業となり人件費が増大します。
・アスベストの有無:2023年10月より、有資格者による事前調査と報告が義務化されました。古いビルの場合、除去費用として別途数十万〜数百万円が加算されることがあります。

費用負担を劇的に抑える「交渉術」と「戦略」

解体費用は、オーナーとの交渉や進め方の工夫次第で、数十万〜数百万円単位で抑えることが可能です。

① 「B工事」を「C工事」に変更してもらう

店舗工事(解体)には3つの区分があります。
・A工事:オーナー負担・オーナー指定業者が施工。
・B工事:店主負担だが、オーナーが指定した業者が施工。(割高になりやすい)
・C工事:店主負担で、店主が選定した業者が施工。(市場価格で発注可能)
B工事は、ビル管理会社の指定価格が適用されるため、市場価格より3割〜5割ほど高くなるのが一般的です。

【交渉のコツ】
「自分で信頼できる解体業者から相見積もりを取り、施工実績を提示した上で、『同等の品質で費用を抑えたいので、指定業者以外(C工事)での施工を認めてほしい』」と誠実に打診してみましょう。

② 次のテナントへの「居抜き譲渡」を提案する

解体費用をゼロにする唯一の方法は「解体しないこと」です。オーナー側としても、解体して空室期間を作るより、次のテナントがすぐに家賃を払い始めるほうが収益性が高い場合があります。退去の半年前など、早い段階で「居抜きでの後継募集」をオーナーに打診するのが理想的です。

③ 付帯設備の「残置物」交渉

エアコンなどが新しく価値がある場合、それらを「残置物」として置いていく交渉ができます。オーナーには将来の故障リスクを懸念されますが、「修理義務は負わない、次の入居者が不要ならその時点で処分して構わない」という一文を合意書に入れることで、解体範囲を狭められる可能性があります。

失敗しないための「完全スケジュール管理」

解体トラブルの9割は「時間切れ」から発生します。余裕を持った行動が、無駄なコストを削減する鍵となります。

【6ヶ月前】契約の再確認: 原状回復条項を読み直し、入居時の写真(証拠)を探す。
【4ヶ月前】解体範囲の確定: オーナー・管理会社・解体業者の3者で立ち会い、境界線を明確にする。
3ヶ月前】相見積もり: 最低3社。金額だけでなく「マニフェスト(産廃処理証明書)」の発行など適正さもチェック。
【2ヶ月前】発注と近隣挨拶: 騒音トラブルを避けるための挨拶。ライフライン(電気・ガス等)停止の段取り。
【1ヶ月前】着工・完了検査: ゴミの取り残しがないか、オーナーと最終確認。

物件の引き渡し期限が迫ると、オーナー指定の割高な業者に頼まざるを得なくなったり、不十分な作業でトラブルに発展したりするリスクが急増します。退去が決まったら、まずはこのスケジュールをカレンダーに落とし込み、一歩先んじた行動を心がけましょう。

まとめ

店舗・テナントの解体は、単なる「破壊」作業ではありません。それは、次のチャレンジへ進むための「資金を守るための経営判断」です。「居抜きで借りたからラッキー」で終わらせるのではなく、入居した瞬間から退去コストを意識し、準備しておくことが重要です。境界線の問題は、事前の準備量とオーナーとの誠実なコミュニケーションによって決まります。

もし解体費用が予算を大幅にオーバーしているなら、まずは専門の解体業者に相談し、見積もりの妥当性をチェックすることから始めてください。

私たちエスエイアシストでは、不動産解体業者として丁寧で綺麗、クレームのない解体・撤去工事に力を入れています。また、ピタットハウス浦和西口店・恵比寿店を運営しており、安心してご依頼いただけます。これまでも様々なご相談を数々と解決してきた実績がありますので、お悩みの方は、ぜひ一度エスエイアシストにご相談ください!お待ちしています。

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