株式会社エスエイアシスト

擁壁(ようへき)の解体・撤去費用は?「盛土規制法(宅地造成等規制法)」との関係と注意すべき法規制

独自のノウハウにより安心・安全そしてリーズナブルに解体サービスを提供する、ピタットハウス浦和西口店・恵比寿店を運営する株式会社エスエイアシストがお届けする解体コラム、今回は、「擁壁(ようへき)の解体」について詳しく解説します。

土地の売却や建て替えを検討する際、避けて通れない大きなハードルとなるのが「擁壁」の扱いです。擁壁の解体は、一般的な建物の解体とは根本的に性質が異なります。単に構造物を壊すだけでなく、背後にある膨大な土の圧力を制御する「土木技術」と、厳格な「法規制」が密接に絡み合っているからです。本記事では、擁壁解体の費用相場から必ず押さえておくべき最新の法規制までを詳しく解説します。

擁壁解体・撤去費用の相場と価格を左右する要因

擁壁の解体費用は、一般的に1平方メートル(㎡)あたり1.5万円から5万円程度が相場です。

例えば、高さ2メートル、長さ10メートルの標準的な擁壁(20㎡)であれば、概ね30万円から100万円程度の予算を見込む必要があります。ただし、擁壁の厚みや構造、背面の土圧の状況によって解体難易度が大きく変わるため、これに加えて重機回送費や諸経費、産業廃棄物処分費が加算されるのが一般的です。
費用に大きな幅が出る理由には、以下の3つの要因があります。

① 擁壁の種類と材質

古い石積みであれば比較的解体しやすいケースもありますが、鉄筋コンクリート(RC造)のように材質が強固で厚みがあるほど、解体に要する時間と特殊重機の使用料が加算されます。

② 立地条件と施工の難易度

擁壁が高くなるほど、作業中の崩落を防ぐための「土留め(どどめ)」と呼ばれる仮設工事が必要になり、コストが増大します。また、前面道路が狭く工事車両が進入できない場合は、小型重機への切り替えや手作業による搬出が必要となり、人件費が跳ね上がる傾向にあります。

③ 産業廃棄物の処分費用

解体によって発生した膨大なコンクリート廃材などは、適切に処理する必要があります。近年の処分費高騰も全体のコストを押し上げる大きな要因となります。

💡 ワンポイントアドバイス
自治体によっては「危険擁壁の撤去補助金」制度を設けている場合があります。主に土砂災害警戒区域内などの特定の危険箇所が対象となることが多いですが、工事前に条件を確認することで、費用負担を軽減できる可能性があります。

知らないと危ない!擁壁解体に関わる「法規制」

擁壁は土砂災害から人命を守るための重要な構造物であるため、その解体や作り替えには複数の厳しい法律が適用されます。

「宅地造成等規制法」から「盛土規制法」への改正

2023年(令和5年)5月26日に施行された「盛土規制法(正式名称:宅地造成及び特定盛土等規制法)」には特に注意が必要です。

この法律は、従来の「宅地造成等規制法」を抜本的に改正したものです。これまでは主に「宅地」が規制の対象でしたが、静岡県熱海市で発生した土石流災害などを受け、農地や森林なども含む、より広範囲かつ厳格な規制へと進化しました。

自治体が順次指定する「宅地造成等工事規制区域」内などで、一定規模以上の擁壁の撤去や盛り土・切り土を伴う工事を行う場合、着工前に知事等の許可を得ることが義務付けられています。

「既存不適格」な擁壁のリスク

ここで見落としがちなのが「既存不適格」な擁壁の存在です。 「宅地造成等規制法(旧法)」の時代、数十年前の基準で造られた擁壁は、現在の最新の法基準を満たしていないことが多くあります。

こうした擁壁は、そのまま使い続ける分には違法ではありませんが、一度解体して新しく作り直す(再構築する)際には、現在の厳しい新基準に適合させなければなりません。その結果、再構築費用が当初の予想を遥かに超えたり、工法に制限がかかったりするケースが少なくありません。

※ご確認のお願い
現在、全国の自治体で順次『規制区域』の指定が進められています。お持ちの土地が規制対象に入っているかどうかは、各市区町村の公開している『地図情報システム』などで確認が可能です。

建築基準法と「再建築不可」のリスク

建築基準法では、敷地に2メートルを超える高低差がある場合、その安全性を公的に証明できなければ建物の建築許可が下りません。新しく高さ2メートルを超える擁壁を築造する場合、「工作物確認申請」が必要になります。

安易に古い擁壁を解体した結果、新しい擁壁を設置する予算が確保できなくなると、行政から安全性が認められず、その土地自体が「家を建てられない土地(再建築不可)」と見なされたり、建物側に大幅な設計制限(がけ条例による制限など)がかかる恐れがあります。

土地売却時に注意すべき「擁壁」の落とし穴

土地を安全かつ有利に売却したいオーナーにとって、擁壁の状態は査定価格を左右する決定的な要因です。

「更地渡し」か「現況渡し」か

擁壁に目立つクラック(ひび割れ)や「はらみ(膨らみ)」が見られ、行政から改善勧告が出ているような状況であれば、解体して更地にする方が買い手の安心感に繋がり、早期売却が期待できます。

一方で、法的な安全性が確認できている古い擁壁であれば、解体費用相当額を売却価格から差し引く「現況渡し」で交渉する方が、オーナー側のキャッシュフローとして有利になる場合もあります。

隣地との「境界問題」

擁壁が境界線上に位置していたり、構造の一部が隣地に越境していたりすることは珍しくありません。解体後に「実は隣人の所有物だった」といったトラブルを避けるため、事前に境界確定を行い、隣地所有者との合意形成を図っておくことがスムーズな取引の絶対条件です。

信頼できる業者の見極め方

擁壁の解体には、一般的な住宅解体とは一線を画す土木工学的な知見が求められます。依頼先を選ぶ際は、以下のポイントをチェックしましょう。

土木施工実績が豊富か:単なる解体免許だけでなく、擁壁や土木工事の経験が豊富か確認してください。
法規制への最新の理解:「盛土規制法」の区域指定状況や必要な手続きについて、現地の状況を踏まえて説明できる業者は信頼できます。
「壊した後」の提案があるか:解体後の土壌の安定性や地盤への影響、再建築時のリスクなど、土地の将来を見据えたアドバイスがあるかが重要です。

まとめ

擁壁の解体・撤去は、単なる破壊作業ではなく、土地の資産価値を再構築するための重要なプロジェクトです。

まずは、自分の土地がどの規制区域に属しているかを自治体の最新情報で確認し、解体後の出口戦略(売却か建て替えか)を明確にしましょう。その上で、解体費用と再構築費用のバランスを考慮したトータルコストで判断を下すことが大切です。

私たちエスエイアシストでは、不動産解体業者として丁寧で綺麗、クレームのない解体・撤去工事に力を入れています。また、ピタットハウス浦和西口店・恵比寿店を運営しており、安心してご依頼いただけます。古い擁壁の扱いや解体費用でお悩みの方はお悩みの方は、ぜひ一度エスエイアシストにご相談ください!お待ちしています。

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